「脱炭素」へ向けた国や企業の取り組みが加速する一方、再生可能エネルギーによる発電量は全体の20%程度にとどまり、世界からおくれをとっています。afterFITは、国内の太陽光発電所を増やすため、発電所の保安を担う電気主任技術者の効率的な配置を目指し、電気保安法人を設立しました。これにより、ひとりの電気主任技術者が複数の発電所の保守管理を手掛けられるようになり、発電所普及にあたっての人手不足という課題を解決していきます。■増えるグリーン発電所、不足する電気主任技術者afterFITは2021年1月、札幌支店(北海道札幌市)を電気保安法人として登録しました。保安法人の設立は、電気主任技術者の不足という課題を解決するものです。発電所では、工事や維持、運用を保安監督させるため、発電所ごとに電気主任技術者を選任することが定められています(電気事業法第43条)。afterFITは全国に電気主任技術者が39名いますが、今後、発電所をさらに普及するには、さらに効率的に電気主任技術者が動ける態勢が必要と考えています。しかし、2012年のFIT制度導入後、太陽光発電所の建設が相次いだ一方、その保安業務を担う電気主任技術者の人手不足が問題となっています。2017年に経済産業省が実施した調査によれば、2030年に第3種電気主任技術者が2000人不足するともいわれています。この問題を重く受け止めた経済産業省は、ワーキンググループを立ち上げて議論を行い、人手不足解消のためのあらゆる施策を検討しています。太陽光をはじめ、グリーン電力発電所を増やし、2050年までにカーボンニュートラルを目指す日本にとって、電気主任技術者不足は必ず解決すべき課題といえます。電気主任技術者のなり手が不足する背景には、高齢化と資格取得難易度の高さがあります。団塊の世代と呼ばれる人たちが退職する「2025年問題」が例外なく電気業界にも降りかかる一方、令和元年度の第3種電気主任技術者の資格試験合格率は、わずか9.3%。司法試験の平均合格率が20~30%であることを考えると、取得が非常に難しい資格であることがわかります。■保安法人設立でできることこうした問題の解決策となるのが保安法人の設立です。電気主任技術者ひとりにつき、ひとつの発電所しか担当できなかったところ、保安法人化することで、ひとりで複数の発電所を担当することができるようになります。今回、札幌支店を保安法人として登録したことで、電気主任技術者の新規採用が難しい中、より多くの太陽光発電所の保安業務を受託できるようになりました。保安法人化するメリットが大きい一方、実現のためには、電気設備の保安管理業務を担う専門機関として、関連法令が定める要件をクリアしなければなりません。今回、afterFITの札幌支店はすべての要件を満たし、電気設備の保安を確実に行うことができる体制であると、産業保安監督部から正式に認められたことになります。今後、札幌以外にも展開している全国の支店の保安法人化を順次進めていく予定です。電気主任技術者不足という社会課題に対し、あらゆる策で対応することで、国内の太陽光発電所増加に伴う保安業務の課題解決に貢献してまいります。